タイプではありませんが
「あんこ餅?」
呟いた途端、家族の視線を浴びる。同時に手の中の携帯が震えた。
「えっ!あっ……と!」
ポスっと膝の上に落ちた携帯を掴み、とっさに通話をオンにする。
周りの家族に会社の同僚、と早口で言うと電話を耳に当てた。
「……もしもし?」
『あけましておめでとう。今年もよろしく』
星野の声がいつもよりくぐもって聞こえるような気がするのは、千葉と香川で物理的な距離があるからか。
楓は興味を失ったようにテレビの駅伝に視線を戻した家族に片手で詫びると立ち上がる。廊下に出て一呼吸置くと、新年の挨拶をする。
「あけましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします」
『今大丈夫なの?』
「少しなら」
『あんこ餅って思った?』
見ていたような星野の口調に楓は吹き出した。
「見てたの?」
『そうそう。俺、透視できるから』
「透視って。ホッシーがそんなことできるとは知らなかった」
『すごいやろ?』
「すごいねー」
『うわー、棒読みやん。初笑いしてもらおうと思ったのにスベった』
おちゃらける言い方に楓はとうとう吹き出した。と、同時に星野との会話で肩の力がフッと抜けるのを感じる。