タイプではありませんが




「やるねー、ホッシー」
 琴美はニヤリと笑った。首がすわったと言っていた赤ちゃんは、今はお昼寝中だ。
 楓が持ってきたケーキで、琴美と田中とお茶をしながら星野のことを話していた。
 ここ何ヶ月も星野に振り回されている楓は誰かに相談したくてたまらなかったのだ。
 口が固い二人だ。ここだけの話にしてくれる。
「まぁ最近の星野、機嫌よかったもんな」
 と、言うのは田中だ。楓は気付かなかったが男同士、微妙な変化はわかるのだろう。
「いいじゃん、付き合えば」
 二人揃って楓に言うが、頑なに首を振る。
「ヤダよ、タイプじゃない」
「タイプの人に尽くしても振られてるじゃん。今まで」
 グサリと刺さることを言うのは琴美だ。忖度なくアドバイスくれるのは嬉しいのだが、今はそれが痛い。
 落ち込む楓を見て、田中が女二人をなだめる。
「まぁ、試しに付き合うのも有りだとは思うよ」
「失礼じゃん、それは」
「大丈夫。全て分かった上なんだし、星野は喜ぶよ」
「そうそう。それに付き合わないとわからないこともあるしね。……そっちの相性とか」
 含みをもたせた琴美の言い方にぐぅ、と楓は唸った。だから躊躇っているのに。
 楓の恋愛事情を知り尽くした琴美は遠慮がない。

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