タイプではありませんが
一旦言葉が切れた。彼にしては珍しく言葉を選んでいるような気配がする。
楓は電話口で息を飲んだ。全く同じことを先程まで自分も思っていたから。
フッと星野が息を吐く。ため息か、それとも笑ったのか。
電話だから、楓はうかがい知ることはできない。
「ホッシー?」
『あぁ、ごめん』
柔らかな返答で星野が笑っていることが伝わる。少しだけホッとした楓は、ゆっくりと歩みながら星野の言葉を待った。
『で、考えてみたら進学で実家出て十年だからそりゃあ変わるよなって』
「そうだね。私も社会人になってから一人暮らししたけど、五、六年で大分変わったもん、地元」
『やろ?……んでさ、思ったんよ』
「何を?」
『山下に惚れて五年かぁって。俺の一人暮らし歴の半分は山下のこと想っとたんやなぁって』
「なっ……」
突然の告白に楓は絶句する。まさか、話がそこに飛躍するとは思わなかった。
楓の様子が手に取るようにわかるのだろう。電話口で爆笑している星野が今は憎たらしい。
『少しはドキッとした?』
とっさに電話をブチッと切ってしまった。
しまった、と思い詫びのメッセージを打つ楓だったが、星野のほうが一足早かった。
『お土産渡すから会社始まる前に会おうよ。さっきのブッチはそれでチャラね』
一本取られた。
楓は大きなため息をつき、返事をする。
答えはもちろん、イエスしか選択できなかった。