合縁奇縁
それからしばらくしてもあたしの涙が枯れることはなかった。

ママとパパがいなくなって初めての誕生日。


「みなと、こい」


あたしの手を引いてリビングに向かう昴。

そこにはケーキがあった。

あたしのだいすきなチョコのケーキ。


「これ、おばちゃんがな、てんごくからおくってきたんやで。みなとのだいすきなチョコケーキ」


ママは毎年あたしの誕生日に手作りのチョコレートケーキを作ってくれていた。

こんなぐちゃぐちゃのケーキではないけど...

きっと昴が作ってくれたんだ。

昴のママと一緒に...。

きっと


「もう、おかあちゃんはあっちいっといて、ひとりでやるから!」


とか言いながら。

あたしはこんなに暖かい家族に迎え入れて貰ったのにいつまでも後ろを向いていちゃだめだと思った。

昴の優しさが嬉しくて嬉しくて...。

あたしは涙をポロポロと流した。


「.......ありがとう」
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