S L S -病弱天然ちゃんはドSイケメンに溺愛される-
第五章⚫︎この胸の痛みとは?そして背徳と執着の境界で
白田凛side
私の心臓は、生まれたときから弱かった。
鼓動はいつも不安定で、私の命はずっと“期限付き”みたいだった。
それでも、医者になりたいって思ったのは――自分のような心臓の子を救いたかったから。
でも今、私はその“医者”である自分が、誰かの手のひらにあるようで、怖くてたまらない。
青山先生の言葉が頭を離れない。
「黒川廉が、君の身体を“研究対象”にした可能性がある」
――そんなはず、ない。
だって彼は、私を助けてくれた。誰よりも厳しくて、冷たくて、なのに私が限界になると、必ずそばにいてくれる。
あの夜、研究室に現れた黒川先生は、明らかに動揺していた。
私が知らないことを、知っていた。
「お前を守りたかっただけだ」
その言葉を、私は信じていいの?
それとも、信じたいだけ?
自室に戻った私は、処方された薬を机に並べ、ただぼんやりと心音を聴いていた。
ピッ、ピッ、ピッ……不規則なリズム。いつものことなのに、今日は少しだけ怖い。
スマホにメッセージが届いた。
【黒川】
お前の顔が頭から離れねぇ。
今すぐ声、聞かせろ。
今すぐにだぞ。
こちらの都合など無視したドSな言葉なのに、なんでこんなに、安心してしまうんだろう。
指が勝手に通話ボタンを押していた。
「……もしもし?」
『声、震えてんぞ。泣いたか?』
「……泣いてない。泣いてないよ……」
『嘘つけ。お前、悲しいとき、声が少しだけ上ずる。5年前もそうだった』
……5年前。
やっぱり、先生はあのときから、私を見ていたんだ。
「先生……わたし、知りたい。あなたが、どうして私にそこまでしてくれるのか。5年前、本当は何があったのか」
通話の向こうで、しばらく沈黙が続いた。
そして、静かに、でも確実に――彼の声が言った。
『お前が死にかけたあの日。俺は……あの手術で“規則”を破ったんだ』
鼓動はいつも不安定で、私の命はずっと“期限付き”みたいだった。
それでも、医者になりたいって思ったのは――自分のような心臓の子を救いたかったから。
でも今、私はその“医者”である自分が、誰かの手のひらにあるようで、怖くてたまらない。
青山先生の言葉が頭を離れない。
「黒川廉が、君の身体を“研究対象”にした可能性がある」
――そんなはず、ない。
だって彼は、私を助けてくれた。誰よりも厳しくて、冷たくて、なのに私が限界になると、必ずそばにいてくれる。
あの夜、研究室に現れた黒川先生は、明らかに動揺していた。
私が知らないことを、知っていた。
「お前を守りたかっただけだ」
その言葉を、私は信じていいの?
それとも、信じたいだけ?
自室に戻った私は、処方された薬を机に並べ、ただぼんやりと心音を聴いていた。
ピッ、ピッ、ピッ……不規則なリズム。いつものことなのに、今日は少しだけ怖い。
スマホにメッセージが届いた。
【黒川】
お前の顔が頭から離れねぇ。
今すぐ声、聞かせろ。
今すぐにだぞ。
こちらの都合など無視したドSな言葉なのに、なんでこんなに、安心してしまうんだろう。
指が勝手に通話ボタンを押していた。
「……もしもし?」
『声、震えてんぞ。泣いたか?』
「……泣いてない。泣いてないよ……」
『嘘つけ。お前、悲しいとき、声が少しだけ上ずる。5年前もそうだった』
……5年前。
やっぱり、先生はあのときから、私を見ていたんだ。
「先生……わたし、知りたい。あなたが、どうして私にそこまでしてくれるのか。5年前、本当は何があったのか」
通話の向こうで、しばらく沈黙が続いた。
そして、静かに、でも確実に――彼の声が言った。
『お前が死にかけたあの日。俺は……あの手術で“規則”を破ったんだ』