この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「……彼女の言う通りです」
「どうして……あなたとはなにも関わりがないのに」

 思わずそう漏らせば、意外にも鎌田がその理由を答えてくれる。

「別にあんたのことはどうでもよかった。僕が傷つけたかったのは穂高慶介だ。そいつが大切にしてるあんたが傷つけば、自動的にそいつも傷つく。ただそれだけのことだ」
「……私を傷つけたかったのは、製造ミスの指摘を恨んでいたからですか?」

 慶介の言葉で合点がいく。製造部を追われたのは慶介のせいだと逆恨みしていたのだろう。

 鎌田は慶介に対して、敵意をむき出しにした表情を向けている。

「お前のせいで僕はやりたくもない仕事をやらされているんだ。お前が余計なことを言わなければ、こんなことにはならなかった。全部お前のせいなんだよ」

 鎌田のその言葉に対し、総務部長が事実をぴしゃりと突きつける。

「それは違う。穂高が気づいていなかったら、君はもっと重い責任を取らされていた。感謝こそすれ、恨むのは間違っている」
「っ……」

 自分自身でもわかっているのか、鎌田は苦い表情をして口をつぐんでいる。もうなにも反論する気はないようだ。
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