この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 アフタヌーンティーを奈菜と楽しむ午後のひととき。

 今日の奈菜はいつもよりもにこにことしていて一段とかわいい。

「奈菜、今日すごく機嫌がいいでしょ。なにかいいことでもあった?」
「ううん。いつも通りだよ」

 そう答える奈菜は、やはりにこにこと笑っている。

「そう? じゃあ、将人との暮らしが幸せなんだ」
「そうだね。幸せだよ。毎日楽しい」

 幸せいっぱいだと言わんばかりの表情に、明日香も幸せな気持ちになる。

「もうこのケーキより奈菜の表情の方が断然甘いでしょ。ごちそうさまです」
「恥ずかしい」

 頬を押さえて照れる奈菜のかわいさといったらない。見ているだけで癒される。

 それにしても本当に幸せそうでよかったと明日香は微笑む。

「マリッジブルーには全然なってなさそうだね」
「うん、大丈夫だよ。結婚式が近づいてきたら、また違うのかもしれないけどね」
「結婚式かー。私、奈菜の結婚式で泣く自信しかないんだよね。ウォータープルーフのコスメ使わないと大変なことになるかも」

 今、少し想像しただけでもうるっとくる。奈菜が両親への手紙など読もうものなら、前が見えないほど涙を流してしまうに違いない。

「ふふ。明日香ちゃんは感動したとき、号泣しちゃうもんね」
「普段はそんなに泣かないんだけどね。身近な人のいい話には弱くて」
「確かに、明日香ちゃんは自分のことよりも、ほかの誰かのことで泣いてるイメージが強いね」
「勝手に親みたいな気持ちになって、泣いちゃうんだよね」

 もちろん親になった経験はないが、身近な人に嬉しいことや悲しいことが起きたとき、明日香はその人に感情移入するのではなく、その人を見守っている立場の人に感情移入してしまう。

 小さい頃はそうでもなかったと思うが、十代後半にはすでにそうなっていた気がする。
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