この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 奈菜と店の前で解散した明日香は、軽い足取りで駅へ向かって歩く。

 奈菜の惚気話を聞いたせいか、慶介に会いたくてたまらない。ついつい慶介のことを考えてしまう。

 そんな状態で、完全に慶介のことで頭がいっぱいになっていたせいだろうか。明日香は駅に着くまで、大事なことを忘れているのに気づかなかった。

 駅に到着し、ICカードを取り出そうとしたところで、明日香の目に入ってきたのは鞄と一緒に持っていた紙袋。

 明日香が持っていてはいけないそれがあることに気づき、思わず声を漏らす。

「あっ、しまった。お土産渡すの忘れてた」

 紙袋に入っているのは、慶介とデートで行った先で買った土産物。奈菜に渡すつもりで持ってきたのに、渡さずに別れてしまった。

 奈菜とはそんなに頻繁には会えないから、今日を逃すと渡せなくなってしまう。

 明日香は急いで来た道を戻った。
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