この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「いっそのこと婚活を始めた方がいいのかな」
「いや、それも結局は同じ結果になるだけだろ」
「でも、結婚前提なら、心構えも変わってくると思わない?」

 結婚という重しがあれば、明日香の心も動いてくれるかもしれない。強制的にでも、将人以外を見つめることができるかもしれない。そう思った。

「如月が本気で結婚を望んでるならな。でも、違うだろ? 現実から目を背けようとしてるだけだ」

 痛いところを突かれた。結婚が目的ではなく、将人への想いを捨てることが目的になっていると見抜かれている。

「……だって、向き合ったってしかたないじゃない」
「別に向き合う必要はない。ただ受け入れればいい」

 慶介と同じようにしろと言っているのだろう。彼はその苦しい想いを受け入れ、離れた場所から奈菜のことを見守り続けている。

 この男の一途さがとても羨ましい。

 だが、その生き方は明日香には難しい。遠くから見守るだけではきっと寂しさに耐えられなくなる。

「穂高はそれで寂しくないわけ?」
「別に。一人でいるのは嫌いじゃないからな」
「そう……私は寂しい。いや、正確に言えば、寂しくなるのが怖い」
「ん?」

 どうやら言い直した意味が伝わっていないようだ。慶介はよくわからないという表情をしている。

「だって、このまま誰ともまともに付き合えずに、結婚もできなかったらどうする? 独居老人なんて考えただけで恐ろしいでしょ。孤独死だけは絶対に嫌だ」

 明日香は誰かと寄り添う人生を送りたいのだ。今は仕事があって、慶介との時間もあって寂しくはないが、いずれ一人になって、一人で死んでいくのは嫌だ。

 明日香の本音に、慶介は予想外の解決策を提案する。
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