この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「……なんでそんなこと訊くんだよ」
「なんでって……別れたんじゃないのか? そうじゃないなら、どうして明日香を見合いに行かせたんだよ。ちゃんと相談に乗ってやらなかったのか?」

 初めて知る信じがたい情報に強い焦りを覚えるとともに、将人の慶介を責めるような声音に苛立ちが募る。

「待てよ。見合いってなんだよ。どういうことか説明しろ!」

 感情的になって強く声を荒げてしまった慶介は、自分のその声で冷静になる。

「……ごめん」
「いや……えっと、昨日、母さんから送られてきたメールに書かれてたんだけど、跡継ぎ問題で、明日香が見合いをするらしい。今になってメールに気づいたから、慌てて電話したんだけど、慶介は知らなかったのか?」

 なにもかも初耳だ。跡継ぎ問題も、見合いの話も、なに一つ明日香からは聞いていない。そんな悩みがあるとは聞かされていない。

 どうして恋人であるはずの自分が蚊帳の外にいるのだと、強い悲しみを抱く。

「なんだよ、それ……跡継ぎ問題って、なんの話だよ……」
「明日香の弟が継がないって言い出したみたいで、それで明日香が婿を取る話になったらしい。今日、その相手と見合いするって書かれてる」
「嘘だろ……」

 明日香がなにも相談してくれなかったことにひどくショックを受ける。

 自分には甘えていいといつも伝えていたのに、話すらしてくれないとは、明日香にとって慶介の存在はその程度だったということだろうか。

 二人の心が繋がっていると思っていたのは、慶介ただ一人だったのだろうか。

 悲嘆に暮れ、なにも言葉にできない慶介に対して、将人は容赦ない言葉を浴びせてくる。
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