この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「慶介、明日香のことをちゃんと見てほしい。明日香は昔から強くて、いつも前を向いていて、絶対に弱音を吐かない。自分から誰かに頼ることはしないんだ。今回も明日香のそういうところが出たんだと思う。明日香が好きなら、そういうところに気づいてやってほしい」

 明日香のことをわかってると言わんばかりの言い方に、怒りに似た感情を抱く。

 確かに将人の言っていることは間違っていない。明日香はそういう人間だ。いつも自分の力で道を切り開き、苦しくても、つらくても、前に進み続けようとする。

 明日香を守りたいなら、彼女のそういう危うい強さをわかっていないといけない。

 だが、それを将人が言うのはどうしても許せない。明日香の長年の苦しみに気づかなかった将人に、それを言う資格はない。

 けれど、同時に自分にもその資格はないと気づく。まさに今、慶介は彼女の悩みに気づかず、別れを告げられてしまっているのだから。

 慶介はどうにもならない感情を持て余し、またも強い口調で言葉を返す。

「そんなこと、俺が誰よりもわかってる。将人よりもわかってるんだよ! 今の明日香を一番知ってるのは俺なんだから」
「慶介……」
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