この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「ごめんな、奈菜と会ってたこと隠して。でも、やましいことがあったわけじゃないんだ。あの日は奈菜に頼み事をしてて、それで会ってただけなんだ」
「頼み事?」

 慶介は少し言いづらそうにしてから、小さな声で教えてくれる。

「……明日香から理想のプロポーズを訊き出してほしいってお願いしてた」

 とんでもないワードが聞こえた気がして、明日香は随分と間の抜けた声を漏らす。

「……へ?」
「奈菜からそういうこと訊かれなかったか?」

 そう問われると、確かに奈菜から理想のプロポーズについてやたらと訊かれた気がする。

「……訊かれた」
「俺はその内容を早く知りたくて、明日香と会った後に俺と会ってもらったんだ。協力してくれたお礼も渡したかったし。ちょうど奈菜から話を聞いてるところを、明日香は見たんだな。話を聞いた後はすぐに別れたから、見られてるとは思わなかった。嫌な思いさせてごめん」

 明日香の想像とは真反対の答えに、脳の処理が追いつかなくなる。すぐには受け入れられない。

 本当に明日香の勘違いだったのかという気持ちが湧くも、そんなことあるわけないと否定してしまう自分がいる。

「嘘……」
「嘘じゃない。一生に一度のことだから、絶対に明日香を喜ばせたかったんだ。でも、俺が探ったら、明日香は絶対に勘づくだろ。だから、奈菜に協力してもらったんだよ。まあ、将人に頼るって方法もあったけど、あいつが明日香の理想のプロポーズを知るのは面白くなくて、頼まなかった」

 慶介の言葉に軽いパニックに陥りそうになる。彼の言葉をまとめると、信じられない答えが浮かび上がってしまう。
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