この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
「なんだよ、それ……どうして奈菜が好きって話になるんだよ。そんなもの、とっくに心変わりしてるに決まってるだろ」

 ドクンと心臓が強く脈打つ。慶介が心変わりをしているはずがない。奈菜以外の誰に心変わりしているというのか。

「……心変わりって、誰に?」
「明日香以外に誰がいる」

 真っ直ぐな視線を向けられて落ち着かない。明日香に心変わりしていると言う慶介に喜びを覚えそうになるが、このまま受け入れてはならないと必死に耐える。

「いや……でも、慶介、内緒で奈菜に会ってたでしょ?」
「は……? いつの話だよ」
「私が奈菜と二人で会った日。慶介も奈菜と会ってるところを見たの。すごく幸せそうに笑ってるのを見た。でも、その日のことを訊いても、出かけてないって誤魔化したよね。奈菜に気持ちがあるから言えなかったんじゃないの?」

 この話をすれば、さすがに心変わりしていないと認めるだろうと思ったが、慶介は戸惑うでも、納得するでもなく、やたらと大きなため息をついている。

「はあー……そういうことかよ。とんだ勘違いだ……」
「勘違いじゃない。私が見間違えるわけないでしょ」
「そういう意味じゃない。確かに奈菜とは会ってた。誤魔化したのも確かだ。でも、明日香は勘違いしてる」
「え……?」

 奈菜と会っていたことを認めながら、それでもなお勘違いだと言う慶介に、明日香は戸惑う。彼が言っている意味がわからない。

 ひどく困惑した表情を浮かべれば、慶介はとてもやわらかい声で話し始めた。
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