この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 部長から企画の詳細を聞き終え、会議室を出た二人は並んで廊下を歩く。明日香は軽く慶介の方に顔を寄せると、囁くように話しかける。

「穂高、サブだからって遠慮しないでよね」
「はっ、そんなことするわけないだろ」
「そう? ならいいけど。力を合わせるにしても、私はちゃんと意見をぶつけ合いたいから、穂高も言いたいことは全部言ってね」

 サポート役だからと、明日香にすべて合わせるようなことはしてほしくない。いつも通りはっきりと考えを主張し合って、そうして協力できたらと思っている。

「わかってるよ。俺が言いたいこと我慢したことなんてあるか?」
「んー、ないね」
「だろ? 変な心配しなくていいから、如月も全力でやれ」
「もちろん。フルパワーでいくから」

 二人の笑い声が廊下にこだまする。

 恋人らしくという話は少しも実現できていないが、ともに働く同僚としては、今のこの空気がとても心地いいと思う。

 あの実験に関しては一度きちんと話をするにしても、会社では変わらない二人でいたい。

 この会社において慶介はかけがえのない同僚で、よきライバルなのだから。

 明日香はこれからの慶介との仕事を想像し、かつてないほどのやる気に満ち溢れていた。
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