この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
商店街の裏通りを進み、曲がり角まで到達すると現れる『小料理 杉崎』。暖簾と格子戸がそれらしい雰囲気を醸し出しているその店に足を踏み入れれば、美しくたおやかな女将が迎えてくれる。
女将とはすでに顔なじみの明日香と慶介は、カウンター席に並んで腰かけ、各々好きなものを注文する。
そうして頼んだものを出してもらったら、乾杯などはせずに、二人とも自由に食事を始める。それがいつもの二人のスタイルだ。
明日香は目的のものを口に含むと、目を瞑って存分にそれを味わう。
「くうー、染みるー」
隣から呆れた視線が送られてくる。
「大根食ってるやつの台詞かよ。酒飲んでるんじゃないんだから」
明日香が口にしたのはこの店の名物と言っても過言ではない大根の煮物。ここに来たときには必ず最初に食べる料理だ。
「いやいや、染み染み大根を食べたらこうなるでしょ。ほろっと崩れた大根から溢れ出る上品なお出汁。それが大根の甘さと相まって、極上の味わいがじゅわっと口の中に。これを染みると言わずしてなんと言うか」
そんなふうに熱弁すれば、慶介はかわいそうなものを見る目をしてからつぶやく。
「うん、幸せそうでなによりだ」
「ちょっとなんなの、その哀れみの目は。静香さんの大根を食べてるんだから、幸せになって当然でしょ。世界一おいしいんだから」
その台詞に反応したのは慶介ではなく、カウンターの中に立っているこの店の女将・静香だ。
女将とはすでに顔なじみの明日香と慶介は、カウンター席に並んで腰かけ、各々好きなものを注文する。
そうして頼んだものを出してもらったら、乾杯などはせずに、二人とも自由に食事を始める。それがいつもの二人のスタイルだ。
明日香は目的のものを口に含むと、目を瞑って存分にそれを味わう。
「くうー、染みるー」
隣から呆れた視線が送られてくる。
「大根食ってるやつの台詞かよ。酒飲んでるんじゃないんだから」
明日香が口にしたのはこの店の名物と言っても過言ではない大根の煮物。ここに来たときには必ず最初に食べる料理だ。
「いやいや、染み染み大根を食べたらこうなるでしょ。ほろっと崩れた大根から溢れ出る上品なお出汁。それが大根の甘さと相まって、極上の味わいがじゅわっと口の中に。これを染みると言わずしてなんと言うか」
そんなふうに熱弁すれば、慶介はかわいそうなものを見る目をしてからつぶやく。
「うん、幸せそうでなによりだ」
「ちょっとなんなの、その哀れみの目は。静香さんの大根を食べてるんだから、幸せになって当然でしょ。世界一おいしいんだから」
その台詞に反応したのは慶介ではなく、カウンターの中に立っているこの店の女将・静香だ。