この好きが本当になるまで ~腐れ縁の友人と嘘の恋を始めたら~
 その後は明日香のことばかりが気になって、二人と会話をしていても、なにも頭の中には残らない。祝福する気持ちは確かにあっても、今の慶介には明日香以外に心を割ける余裕はなかった。

 ある程度会話が落ち着いたところで、用ができたふりをし、奈菜と将人に別れを告げる。

「じゃあな。二人とも本当におめでとう」

 最後にもう一度だけ祝福の言葉を送り、二人とは別れた。

 そうして一人になるとすぐさま明日香に電話をかける。コール音が鳴り響くが、明日香が応答する様子はない。

「明日香……」

 出てくれないだろうかと懇願するように名を呼ぶが、やはりコール音が繰り返されるだけ。

 慶介は居ても立っても居られず走り出した。今すぐに明日香のもとへ駆けつけて、彼女を慰めたい。彼女の苦しみを取り除いてやりたい。

 明日香を思う気持ちで、慶介の胸は今にも張り裂けそうだった。
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