お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています
真実は、光にさらしてこそ
午後3時。総理官邸・記者会見室。
会場には国内外の記者がぎっしりと詰めかけていた。会見開始前から空気は張り詰め、誰もが一ノ瀬岳の言葉を待っていた。
官邸報道室の職員の誘導で壇上に姿を現した岳は、淡いグレーのスーツにネイビーのタイを締めていた。
整えられた表情。
沈着冷静な態度。
長年、財務官僚としても政治家としても幾多の修羅場をくぐってきた男の風格が、そこにあった。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます」
一礼の後、まっすぐに前を見据え、はっきりとした口調で語り始める。
「現在、一部メディアで報道されております“旧グリーンテクノロジーズに関連する官民連携事業の頓挫”ならびに、“企業団体献金を通じた裏金疑惑”について、私の口から、真実をお伝えいたします」
一瞬、ざわめきが走る。
岳はそれを制するように、続ける。
「まず、官民連携事業に関して申し上げます。
本日、この場で、該当するすべての関連資料を公開いたします。
行政判断に至った経緯、議事録、官民間のメールや提案文書も含め、詳細を開示いたします」
壇上のスクリーンには次々とPDF化された資料が映し出され、スタッフがページをめくるごとに、日付や図面、議論の内容が視覚的に示されていった。
「このプロジェクトが頓挫したのは、一部企業側の資金難、ならびに法整備の遅れによって、当時の行政判断として一旦保留されたためであり、その後、企業の自主撤退により自然消滅したものです。
個人的な裁量で不正に関与した事実は一切ございません」
そして、もう一つの件へと言及する。
「また、企業団体からの献金が、私個人の懐に入っていたのではないかとの指摘についても、明確に否定いたします」
表情を崩さず、だが強い口調で言い切った。
「これまで複数の企業・団体からいただいた献金のうち、私の裁量で一部を、児童養護施設・母子生活支援施設など社会的支援が必要とされる団体への寄付に充ててまいりました。
その経緯と金の流れについては、すでに監査法人および財務省を通じて独立検証を受け、適正に処理されていたことが確認されています」
スクリーンには寄付先リスト、金額、寄付の目的、そして年度ごとの監査記録が映し出された。
「誤解を招いた責任は私にあります。
寄付というかたちで社会に還元するのであれば、より透明性のあるプロセスが必要であったことは、深く反省しております」
記者たちの手が、一斉に動き出す。
フラッシュが瞬く中、岳はその全てを真正面から受け止めながら、静かに、しかし力強く語り続けた。
会場には国内外の記者がぎっしりと詰めかけていた。会見開始前から空気は張り詰め、誰もが一ノ瀬岳の言葉を待っていた。
官邸報道室の職員の誘導で壇上に姿を現した岳は、淡いグレーのスーツにネイビーのタイを締めていた。
整えられた表情。
沈着冷静な態度。
長年、財務官僚としても政治家としても幾多の修羅場をくぐってきた男の風格が、そこにあった。
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます」
一礼の後、まっすぐに前を見据え、はっきりとした口調で語り始める。
「現在、一部メディアで報道されております“旧グリーンテクノロジーズに関連する官民連携事業の頓挫”ならびに、“企業団体献金を通じた裏金疑惑”について、私の口から、真実をお伝えいたします」
一瞬、ざわめきが走る。
岳はそれを制するように、続ける。
「まず、官民連携事業に関して申し上げます。
本日、この場で、該当するすべての関連資料を公開いたします。
行政判断に至った経緯、議事録、官民間のメールや提案文書も含め、詳細を開示いたします」
壇上のスクリーンには次々とPDF化された資料が映し出され、スタッフがページをめくるごとに、日付や図面、議論の内容が視覚的に示されていった。
「このプロジェクトが頓挫したのは、一部企業側の資金難、ならびに法整備の遅れによって、当時の行政判断として一旦保留されたためであり、その後、企業の自主撤退により自然消滅したものです。
個人的な裁量で不正に関与した事実は一切ございません」
そして、もう一つの件へと言及する。
「また、企業団体からの献金が、私個人の懐に入っていたのではないかとの指摘についても、明確に否定いたします」
表情を崩さず、だが強い口調で言い切った。
「これまで複数の企業・団体からいただいた献金のうち、私の裁量で一部を、児童養護施設・母子生活支援施設など社会的支援が必要とされる団体への寄付に充ててまいりました。
その経緯と金の流れについては、すでに監査法人および財務省を通じて独立検証を受け、適正に処理されていたことが確認されています」
スクリーンには寄付先リスト、金額、寄付の目的、そして年度ごとの監査記録が映し出された。
「誤解を招いた責任は私にあります。
寄付というかたちで社会に還元するのであれば、より透明性のあるプロセスが必要であったことは、深く反省しております」
記者たちの手が、一斉に動き出す。
フラッシュが瞬く中、岳はその全てを真正面から受け止めながら、静かに、しかし力強く語り続けた。