極上御曹司からは逃れられない運命でした
司輝さんは変わらず余裕そうだ。

それが無性に悔しいと思った。

「司輝さんこそ、大人なフリして逃げようとしてるんじゃないですか?」

グッと目に力を入れて司輝さんを見上げた。

「ずいぶんと煽るな」

人がまだ多いというのに司輝さんは見上げた私の顎を指でクイっと持ち上げ、唇を見つめる。

「どうする? 来るか?」

私はその魅惑的な瞳に囚われたようにコクっと頷いてしまった。

ーーーー

好奇心が優ったと言えばそれだけの事。

でも後々こんな事になるなんて思ってなかった。

完全に骨抜きにされた。

あれが大人の…

はぁ。

本当にどうにかしてよ!

司輝さん相手じゃ私なんてさぞお子様に見えただろう。

あんな…

いろいろ…

これまでの経験なんて何の役にも立たなかった。

完全に負けた…

悔しい!

これでも大人っぽいとか、美人とかそれなりに言われた事だってあったのに!

はぁ。

結局最後まで司輝さんはどこか余裕そうだった。

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