極上御曹司からは逃れられない運命でした
話を聞けば帰りの電車が止まったと。

結局送る事にしたが、凛花の家は想像よりも遠くて…

これ以上の接触は控えたかった俺にとって拷問だった。

そしてなんとか沈黙を貫いて送る。

その間も、シートベルトをはめられずにしどろもどろになった彼女に近づいた時に香った柔軟剤の匂いや、僅かに感じた息づかい。

那子と話した時に見せた何気ない笑顔を思い出してしまう。

少し低めの声や、辛くてもあえて明るく答えていた健気な姿など。

そして生意気そうな目。

どうにも俺は凛花の動向が目について仕方ない。

無事に送り届け、どこかで自分の不甲斐なさを感じつつも、負けるな、なんてありきたりの言葉を残し俺は逃げるようにその場を後にした。

これで良かったんだと言い聞かせて。

彼女が大人だったらまた違ったのだろうか。

なんて思いながらこのいっ時の感情に蓋をした。

あんなにも我慢をしたのは初めてだった。
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