両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
結婚してからも関係を続け、姉の小百里が生まれた。
俺が物心ついた頃には小百里が俺の姉としてそばにいたから、詳しい事情は知らない。
今でも小百里の母親と父親は関係が続いている。
俺の母親とは家のために結婚しただけ。
そのことに母親も気づいている。
なのに夫婦でいる。
全部、この渋木の家のためだけの関係だ。
それが俺の家では『普通』のことだった。

「一緒に暮らしている女性がいるそうだな」

「なにか不都合でも?」

ぎろりとにらまれた。
これは話が長くなりそうだなと向かい合うようにソファーに座った。

「本気か、遊びか?」

「本気に決まっている」

「婚約者はどうするんだ」

「形だけの婚約のはず。俺に了承もなく、決めたのは父さんでは?」

険しい顔をしていた。
知久はああみえてお坊っちゃんだ。
製薬会社の社長の息子で次男坊。
俺とまったく違う。
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