両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
あいつの家は音楽に理解がある。
すでに長男が製薬会社で働き、次男の知久や娘の結朱は気ままなものだ。
むしろ、広告塔として応援されているらしい。

「陣川家以上の相手か」

「結婚相手は好きに選ばせてもらえないかな?独立している息子に干渉しすぎだと思うけどね」

「ずっと音楽で食べていけると思っているのか」

「そうなれば、また考える。少なくとも好きでもない相手と結婚はできない。相手を傷つけることになる」

気まずそうに母親はうつむいた。
なぜ、母親が後ろめたく思わないといけないことがある?
父親のほうは顔色一つ変えていない。
苛立ち、声が低くなる。

「言っている意味がわかるのなら、俺は自由にさせてもらう」

「付き合う相手と結婚相手は別の話だ」

「そんな都合のいい―――!」

声を荒げたその瞬間、リビングのドアがノックされた。

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