両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「断る。俺は自分が好きな相手としか結婚しない。片方だけが想っていてもむなしいだけだ」

二人を傷つけるような言い方しか思い浮かばなかった。
ここで遠回しで伝えたところでなんの意味もない。
形だけの婚約者から形だけの結婚相手にされかねない。
それで結朱は満足なのだろうか。

「唯冬。お前の相手は問題がある。普通の家の女性ならまだしも、両親からも存在を無視されるほどの厄介者と聞いた。本当か?」

結朱をちらりと見ると目をそらした。
言ったのは結朱に間違いない。
両親に悪口を吹き込んだか。
どおりで両親がかたくなに俺の言葉をきいてくれないはずだ。

「どんな人なのかは改めて二人に紹介する」

「紹介する……?ここに連れてくるつもり?」

「当然だ」

「そんな肩書きもなにもない人、唯冬さんにふさわしくないわ」

ぼそりと結朱がつぶやいた。
そして、目に涙を浮かべていた。

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