両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「いいか!虹亜の邪魔になる前に別れろ」

「虹亜はあなたの汚名をはらすためにコンクールに出場するんだから、もう少し考えて行動してちょうだい」

両親の容赦のない罵声が頭上から浴びせられ、何事かとアパートの隣人が顔出してちらちらとのぞいていた。
まだ続くてあろう罵詈雑言を覚悟していると、しんっと静かになった。
なに―――?
顔をあげると両親も虹亜もアパートの階段の下へ視線を向けている。

「すごい騒ぎだな」

唯冬の声だった。
アパートの階段の足音が近づき、私の前に現れた時、すがりつきそうになった自分を押し止めた。
私の様子がおかしいことに気づいた唯冬は三人を見た。

「千愛。大丈夫か?」

目が見れない。
結朱さんとのことを怖くて聞けないなんて。
もし、婚約者だといわれたら?
今はそのショックに耐える自信がない。

「なにを言われた?とりあえず、マンションに帰ろう」

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