両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「そんなことよりっ!宰田さん、どうして私はこんなドレスなんですか?唯冬はなにを企んでいるんですか?」

「すみません。それに関しては口止めされていて言えないんです」

宰田さんは悪くない。
きっとこれは唯冬が考えたことなんだから。
本人に直接尋ねるしかない。
ハンカチで汗をぬぐう宰田さんを責めても仕方のないことだ。
コンサートホールに着くと案内されたのは正面でなく、関係者出入り口だった。
―――やっぱり。
これはもう問いただすしかない!
そう思って、唯冬がいるはずの楽屋に着くとバンッとドアを開けた。
すでにいなかった。

「もう舞台にいますよ」

追いかけてきた宰相田さんがそんなことを言った。
しかたなく、差し入れの紙袋を楽屋のテーブルの上に置いた。

「じゃあ、行きましょうか」

「え?」

「舞台袖で聴くように言ってましたよ」

「ま、待ってください。宰田さん!私、弾けません!」

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