両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「余興だよ」

こっ、この二人。
私のトラウマともいえる演奏を余興扱いしてっ!
知久さんと逢生さんはタイを外して、ソファーに座ってゼリーを食べていた。
さっきまでの王子っぽさはゼロ。
今はただの悪ガキにしか見えない。

「でも、妹ちゃんはいいこと言ったね。コンクールに出れば?」

知久さんはピッと使い捨てスプーンを指揮棒のように私に向けた。

「コンクール!?それはさすがに無理よ!」

「恥をかいても出場したほうがいい」

逢生さんまで。
しかも、恥をかいてもなんてハッキリいってくれる。
煽っていくスタイルなの?
この人は。

「知久、逢生。説明もなく唐突すぎる」

唯冬が見かねて口を挟んだ。

「千愛はこの先、どうしたい?」

「どうするって……」

「ピアニストを目指すか、会社員として趣味でピアノを続けるか」

プロになるかどうかってことを今選ぶの―――!?

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