両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
唯冬の声にハッとして、周りを見るとスタッフの人達が何事かと集まってきつつあった。
これだけ騒いだから当然だけど。
視線をかわして楽屋に逃げ込むとすでに逢生さんがマイペースに差し入れのゼリーを食べていた。

「おいしいね。このフルーツゼリー」

「お前だけ、なにくつろいでるんだよ」

しかも二個目。

「さくらんぼのやつと桃の食べた」

「見ればわかる!」

「ずるっ!俺、さくらんぼのやつ食べたかった」

知久さんは逢生さんに食べられると思ってか、ぶどうのゼリーを手にした。

「千愛、差し入れ持ってきてくれたのか。ありがとう」

「差し入れのお礼の前に言うことがあるでしょ!?突然、舞台にあげるなんて、なんてことするの」

「逃げ道を断ったほうが覚悟できただろ?」

「荒療治すぎるわ……。弾けなかったらどうなっていたか……」

「大丈夫、大丈夫!お客さんは俺達が目的なんだから」

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