両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「おめでとう。雪元さん。まさか君がピアノをやっているとは思ってなかったが」

「い、いえ……その……」

「ロマンチックだね。君の復活を待っていたらしいじゃないか」

そんなことまで書いてあるの?
もう先の記事を読むのが怖い。

「サインを頼むよ!」

人事部長に笑顔で言われてしまった。
断り切れず、サインの色紙を手にして課に戻ると後輩の#桜田__さくらだ__#さんが昼食のパンを食べていた。

「#雪元__ゆきもと__#さん、会社を辞めるって本当ですか!?」

「ええ。ごめんなさい。急に辞めることになってしまって」

「やっぱりピアニストになるんですか?」

「なれるかどうかはわからないけど、目指そうと思ってるの」

桜田さんはうんうんとコロッケパンをほおばりながら、うなずいた。

「それがいいと思いますよ。ピアノを弾いてる雪元さんは堂々としていて素敵でしたよ。別人みたいで」

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