両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
寡黙な逢生は眠そうにしながら、『意外と純情』と小さくふっと笑った。
声は聴こえているんだよ、小さくてもな。
逢生は俺がにらんだことに気づいたのか、すいっと目をそらした。
まあ、ほどんど目は前髪に隠れて見えないが。
逢生の前髪が長いのは眠っていてもばれないようにするためらしい。
そんなことを気にする前にまだ他に気にすることがあるだろ?
その社交性の低さをまずはどうにかしろよと思いながら、もう一人の友人、知久のほうを見るとこっちをチラチラ見る女の子達ににこやかに手を振り返している。
なんだ、こいつら。
これが俺の友人かと思うと本当に頭が痛い。
社交性がありすぎるのも困り者なんだよ。
ほどほどという言葉を知らない奴らめ。
結局のところ俺が一番マトモだってことだな。

「唯冬は本当に一途だよな」

にやにやと知久が笑っている。

「うるさい」

目立たないように後ろの席に座ったが―――

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