両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「ねえねえ!あれってもしかして、菱水の三人じゃない?」

「音楽の名門校、菱水音大附属?」

「そうそう!握手してほしーい!」

「卒業してもお変わりなく素敵ねー!」

「三人とも海外の音楽院に留学しているのよね」

「一時帰国かしら。見れてラッキー!」

「三人が共演してるCD持ってくればよかった。サインしてもらうのに」

「作曲の仕事も受けてるってきたわよ」

「もう学生というよりプロよね」

ざわざわと騒がしくなり、恩師の#隈井__くまい__#先生が苦い顔をして審査員席からこっちを見ている。
『なにしにきた』という顔だ。
にこっと微笑み返した俺にたいして、知久はやっほーといいながら手を振った。
逢生は完全に無視。
舞台じゃないあさってのほうを見ながら退屈そうに演奏をきいている。
お前は興味なさすぎだろ。
せめて、前を向けよ……

「離れて座るべきだったな」

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