両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「わかってもらえたようでよかった。今後は彼女に近づかないでくれ。それじゃあ―――」

「ま、待ってくれ!」

待つ?
まあ、いいか。
まだこの両親に対してやりたいことがある。
腕を組み、二人を見下ろした。

「千愛のことはわかった。だが、虹亜にはなにもしないでくれ。あの子には将来がある」

妹ね……
まだ子供にすがっているのか。
いや、正しく言えば、子供に自分達の夢を押し付けている。
ガラス戸の棚には両親のどちらかが使っていたであろう古びた楽譜が並んでいた。
子供は親の分身ではない。
千愛が生まれ育った家であるはずなのに千愛がいたと感じられるものはなにもなかった―――
怒りをこらえ、ぐっと拳を握る。

「そうだ。千愛が弾いていたピアノの部屋はどこかな?」

さも今、思い付いたかのように言った。

「部屋?」

「練習していた思い出の部屋をぜひ」

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