両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
知久と逢生は微妙な顔をしていた。

「生徒それぞれにアドバイスをする先生だからな。同じことをしてもだめじゃないかなー」

「そうだね」

困ったねーと二人は唸っていた。
隈井先生に一度は指導を受けたらしいが、向こうから断ってきたと先生は言っていた。

『合わなかったんだろうね。お姉さんとまったく違う子だね。お姉さんのほうはどれだけ言われても黙って聞いていたよ。困った顔をしてね』

千愛は自分なりに隈井先生の言葉を理解しようとしていたのだろう。
ただあの頃の千愛に言っている意味がわからなかっただけで、先生を拒絶していなかった。
その違いだろう。
予約席に案内され、席に着くなり知久はワインを頼んだ。

「ちょっと飲んだくらいがいい音がでると思うんだよね」

「それはない」

「あれ?知らなかった?アルコールで酔うと女性に酔うように弾けるんだよ?」

「アル中のいいわけだな」

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