両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「許せないな」

唯冬の怒りを含んだ声を耳にして、そっとその手を握った。

「唯冬。もういいの。#虹亜__こあ__#になにもしないで」

「俺がやったことをきいたのか」

「詳しくは知らないわ。でも私がやらせたことだって思ったみたい」

「俺が勝手にやったことだ」

「私の両親にも?」

「そうだ」

指輪をした手に指を絡めると険しい顔がわずかにゆるんだ。
大きな手。
長くて繊細な指。
この手はそんなことをするための手じゃない。

「もうなにもしないで。唯冬がいるだけでじゅうぶんなの」

他にはなにも望まない。
あなたが私の音を聴きたいと望んだから、私は今ここにいる。

「唯冬。私が演奏するのを聴いて。私がいい演奏をする。それが一番の仕返しでしょ?」

「強いな、千愛は」

「唯冬と一緒にいるから強いの」

絶対に助けてくれる誰かがいるからこそ強くなれる。

< 216 / 227 >

この作品をシェア

pagetop