両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「どうぞ。レモンアイスティーです」

すすっとアイスティーをテーブルに置いてくれた。
ここのレモンアイスティーはレモンシロップが入っていて、はちみつ漬けにしたレモンの輪切りがついてくる。
会釈してお礼を言うと何か言いたそうにウロウロとしていた。
なんだろう……
気になって、こちらから話しかけてみた。

「あの、店長もピアノを弾かれるんですか?」

「わっ、私!?少しだけ。#唯冬__ゆいと__#よりはうまくないんだけど……」

グランドピアノをちらりと見て『どうしよう』『でも、私の演奏じゃ……』とブツブツ言っていた。
うぅーんと唸ってから、店長は意を決したように言った。

「よかったら、なにか弾きましょうか?せっかくピアノがあるんだから!」

「え?ええ……」

どちらでもよかったけれど、意気込んだ店長の姿に断ることができず、勢いに負けてうなずいた。

「よーし!弾くわよっ!」

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