両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】

「名誉より愛ですか?意外とロマンチストですよね」

うるさい奴だ。

小百里(さゆり)のところに寄ってから帰る」

「小百里さんですか?いいですねー! 俺も挨拶しよっと!」

マンションはカフェの近くだ。
もしかして千愛がきてるのでは?という思いで、時間が空くとつい寄ってしまう。
車から降りて雨にうたれながら、カフェの入口に立った。

「ピアノの音……」

ドアを開けると、そこには大雨が降っていた。
強い雨は土をえぐり、庭の木々の葉にたたきつけ、雨水が土の通路に流れ出る。
庭のレンガの道はから泥を洗い流すほどの雨。
風が木々を揺らし、葉を落とす。
庭を荒らしてしまう。
雨水があふれ、庭で大洪水が起きている。
カフェに入ったなり、そんな曲が怒涛のごとく流れていた。
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