両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
「悪いけど、まだ何も言えない。行こう、千愛」

「弾けなくなって、家からも追い出されたって聞いたのに……」

去り際に聴こえた結朱さんの言葉に衝撃を受けた。
―――どうして私が家を追い出されたことがみんなに広まっているの?
初対面の結朱さんが知っているのなら、唯冬も知っているということだ。
私が両親から捨てられた存在だということを。
その手を離しかけた時、ぐっと握り返された。

「俺と来ることを選んだなら、もう逃げれない」

絡まった指はほどけることはなく、私を会場から連れ出した。
唯冬は私をどこまで連れて行くつもりなのだろう。
この#未来__さき__#―――



9 足りないもの
会場を出て#唯冬__ゆいと__#が私を連れてきたのは自分のマンションだった。
最上階のペントハウスはルーフバルコニー付きで当然ながら眺めがいい。
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