両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
だから、雨の日こそ私は『音の葉』にいくのが好きだった。
雨音に静かなジャズとコーヒー付きのケーキセット。
カフェの店長は綺麗な女の人で―――
「いらっしゃい」
「え?」
いつもの店長じゃない。
色素の薄い髪と瞳、涼やかな目元、外国のモデルのような男の人がカウンターに立っていた。
繊細そうな長い指で水に濡れたカップを白い布巾で丁寧にふいている。
西洋人形みたいに整った顔は冷たく見え、温度を感じない。
「今日は店長が休みなんだ」
「そうですか……」
バイトの人だろうか。
これが普通の見た目の男の人なら気にならなかったかもしれない。
人の目を引く人だなと思いながら、いつも座る窓際のソファー席に足を向けた。
視線をフロアの方へ移した瞬間、足を止めた。
違う、足が止まったのだ。
その先に進めなくて。
突然、カフェに現れた黒くて艶のある大きなグランドピアノはフロアの真ん中にあった。
雨音に静かなジャズとコーヒー付きのケーキセット。
カフェの店長は綺麗な女の人で―――
「いらっしゃい」
「え?」
いつもの店長じゃない。
色素の薄い髪と瞳、涼やかな目元、外国のモデルのような男の人がカウンターに立っていた。
繊細そうな長い指で水に濡れたカップを白い布巾で丁寧にふいている。
西洋人形みたいに整った顔は冷たく見え、温度を感じない。
「今日は店長が休みなんだ」
「そうですか……」
バイトの人だろうか。
これが普通の見た目の男の人なら気にならなかったかもしれない。
人の目を引く人だなと思いながら、いつも座る窓際のソファー席に足を向けた。
視線をフロアの方へ移した瞬間、足を止めた。
違う、足が止まったのだ。
その先に進めなくて。
突然、カフェに現れた黒くて艶のある大きなグランドピアノはフロアの真ん中にあった。