両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
そう勢い込んでばんっと浴室のドアを開けた。

「スーツ、ぴったりだったな。よく似合っている」

カウンターテーブルにはハムエッグの皿と焼きあがったトーストをのせた皿、音楽はボサノバがかかっていた。
大きな窓からは明るい日差し、青い空とビル、リビングにも緑の葉が青々しい観葉植物がいくつも置いてある。
―――うわぁ、さわやかな朝。って違う!
違うでしょ?
ここできちんとお礼を言って、いつもの毅然とした態度でふるまおう。
よ、よし、そう決めたわよ。

「なにからなにまでありがとう。でもね―――」

「どういたしまして。それで、いつから一緒に暮らす?」

「ま、ま、待って!?い、一緒に暮らす!?なぜ?」

「ピアノ、持ってる?」

「ない……ですけど」

「じゃあ、ここに来るしか選択肢はない」

さ、どうぞと椅子をひかれて、すとんと座った。
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