両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
トーストには甘さ控えめなイチゴジャム、ハムエッグにはブラックペッパーがよくきいていて、おいしかった。
甘いカフェオレも温かくて、ホテルでもないのにこんな贅沢な気分になるのってすごい。
あ、あれ?

「マンションのキー渡しておく。荷物は俺の仕事がオフの時、一緒に運ぼうか」

「私がここに来たら、不都合じゃない?恋人とかいるでしょ!?」

「いないけど?」

「嘘!」

「嘘じゃない。信用ないな」

その顔で彼女がいない?
あり得ない、あり得ないわよ!
さすがの私も騙されない!
こればっかりはね!
でも、自由に弾けるピアノがあるのはここだけで、調律も完璧ときたら魅力的なのは間違いない。
だからといって、この人と同居?
居心地は悪くない。
悪くないから困る。

「落ち着いたら、千愛の気持ちをきかせてもらう。それでいい?」

「う、うん」

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