両親と妹はできそこないの私を捨てました【菱水シリーズ①】
まるで、私を待っていたかのようなクローゼット。

「唯冬。これ……」

「千愛に似合うと思う。好みではなかった?」

「う、ううん。なにからなにまでしてもらって悪いなって」

「少しも悪くない。ずっと俺は待っていた。千愛がここにきてくれるのを」

「ここにいてもいいの?」

甘えてしまっても許されるの?
私はもう天才でもなんでもないのに。

「いいに決まってる」

嬉しそうに微笑んだ唯冬の顔があまりに魅力的すぎて目をそらした。

「自由に使ってくれていいから」

自由に―――
ここに住むんだと思うとつい部屋の中を観察してしまう。
部屋の中には観葉植物が多く置かれていて、まるで空中庭園みたいだった。
趣味のいい落ち着いた色の家具、綺麗に片付けられたキッチン、ルーフバルコニーは緑に囲まれ、テーブルとチェアが置いてある。

「千愛。この荷物も服?クローゼットまで運ぼうか?」

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