ねぇ、あのさ *男の子目線*
*
俺は今日、渚を振ることにした。
あぁ、俺、最低だよな。
ごめんな、渚。
一緒にいられなくてごめん。
「ねぇ、あのさ」
だれもいない教室で二人。
「なに?」
一年前と変わらない声。
息が詰まりそうになる。
それでも、俺は声を振り絞った。
「俺、渚と別れたい」
言ってしまった。
その瞬間、溺れるような苦しさが身に染みた。
「...え?」
渚の顔が見れない。
一秒でも見たら、涙が溢れてしまいそうで。
「なんで」
か弱くて、消えそうな声だった。
「...好きじゃ、なくなったから」
なぁ、俺、辛いよ。
ごめん、ごめんな。
俺は、渚を幸せにしてあげられる自信がなかった。
情けない彼氏でごめん。
「...そっか、分かった...ばいばい」
渚は俺から逃げるように、教室から出ていった。