ねぇ、あのさ *男の子目線*



俺は今日、渚を振ることにした。

あぁ、俺、最低だよな。

ごめんな、渚。

一緒にいられなくてごめん。

「ねぇ、あのさ」

だれもいない教室で二人。

「なに?」

一年前と変わらない声。

息が詰まりそうになる。

それでも、俺は声を振り絞った。

「俺、渚と別れたい」

言ってしまった。

その瞬間、溺れるような苦しさが身に染みた。

「...え?」

渚の顔が見れない。

一秒でも見たら、涙が溢れてしまいそうで。

「なんで」

か弱くて、消えそうな声だった。

「...好きじゃ、なくなったから」

なぁ、俺、辛いよ。

ごめん、ごめんな。

俺は、渚を幸せにしてあげられる自信がなかった。

情けない彼氏でごめん。

「...そっか、分かった...ばいばい」

渚は俺から逃げるように、教室から出ていった。
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