蜜味センチメンタル
月曜の昼過ぎ。昼食に出ていた羅華は職場の自席に戻り、デスクトップに目を落とした。
画面には先日ローンチされたばかりのホワイトチョコレートのCMキャンペーンに関するデータ。SNS分析ツールの画面では、数値がじわじわと伸びている。
「あ、原岸さん。そのチョコCM、けっこう反響出てるっぽいですよ」
隣の席から、ひょっこりと鎌田が顔を覗かせた。
「“推しがチョコ持って家に来るCM”って言われてて。あれ、Stratosファンにはたまんないらしくて公式のコメント欄、軽くバズってます」
鎌田は某有名カフェグループのロゴが入ったカップを置きながら、羅華の隣に座る。そして「見てください」と言いながら、動画サイトに投稿されたCMを流した。
それを見ながら、羅華は冷静に答える。
「“推しがあなたに会いにくる”がコンセプトだからね。概ね狙い通りってところかな」
「ですね。あと、“冬仕様の天使たち”ってタグも伸びてました。あの白ベースのミニマルセットも人気みたいです」
「シンプルな甘さと冬との調和、ってキーワードがやっぱり効いてるのかもね」
「Stratos、今ほんとに勢いありますもんね。及川白雪からのバトン、どうかなって思ったけどむしろ新鮮で良かったかも」
「及川さんは品があって幻想的なイメージだったけど……Stratosはもっと距離が近いし、ファン層も広いしね」
そう言いながら、羅華はモニターに目を戻した。データを見る限り、広告効果は確実に数字に表れている。