蜜味センチメンタル
隠していたわけではないが、私生活をのぞき見されたようで複雑な気持ちで鎌田を睨む。
「原岸さーん、いくら美人でもそんな怖い顔ばっかりしてたら男は逃げますよ?」
羅華の視線にも物怖じすることなく鎌田は言う。
「最初は興味持って近づいてくるけど、あんまりにも脈がないとなったら離れていくのも男です。時々は思わせぶりな素振りして、ちゃんと手綱引いておかないと」
鎌田の奔放な言い回しに、軽く眉をひそめた。
「手綱って…そんな駆け引きみたいなこと、」
「あーはいはい。だいたい分かりました。原岸さんて、恋に夢みる乙女だったんだ。意外と恋愛経験少ないんですね」
「……」
「ていうか、そうやって言う人に限って、ちゃんと相手に気持ち伝えてなかったりするんですよね〜」
返す言葉をなくす。自分でもその言葉に引っかかってしまうくらいの自覚はあった。
那色を信じる信じない以前に、自分はこの気持ちに向き合おうとしたのかと。その上で、きちんと不安を伝えようとしたのかと。
「…伝えてない、かも、しれないけど」
歯切れ悪く漏らすように言うと、鎌田の目がキラリと光った。
「でしょ?だったらそれを口実に誘ってみたらいいんですよ、クリスマス!」
「はっ?なんで?」
「幸い今年のクリスマスは金曜日!平日です。仕事終わって会いに行けばデートはできます。そのまま土日も一緒にいられてたっぷり時間を取れます。ちゃんと行動していかないと、うかうかしてるうちに他の女にとられちゃいますよ!」
「!」