蜜味センチメンタル
「………ラン?」
「おっ、なになに?おねーさんってば俺に興味深々な感じ?」
「…いや……あの、違ってたらすみません。先週の日曜日、那色くんと電話してました…?」
「え?あー!したした!やー俺、必修単位やばくてさー。去年の那色のレポート写させてってお願いしてたのに、あいつ知らぬ存ぜぬでさ。親友の留年のピンチなのに超冷たいの!」
羅華は言葉に詰まり、しばらく返せなかった。
「電話したの知ってるってことは、あん時お姉さん近くにいたんだ。じゃあさぁ…お姉さんも、俺のこと女だと思ってた?」
「……っ!」
「ぶは!うっける〜!いやマジ、名前だけでこれまで何人が誤解してきたか!しかも毎度毎度、那色のせいで修羅場に巻き込まれるの俺なんだけど〜」
あっけらかんと言う嵐。そして肩をすくめ、楽しげに笑った。
「…あ、もしかして、それでお姉さん、那色に遊ばれたって思っちゃった系?」
「!?」
「図星か!なにその展開。那色のやつ、見事に本命から誤解されてやんの。くっそザマァ!」
嵐の無邪気な笑い声が空気を軽く撫でる。
羅華はただ呆然と、目の前の男を見つめていた。