蜜味センチメンタル

「てか未だに信じらんないわ〜。あいつの女関係、マジでえげつなかったのにさ。ワンナイトとかデフォだったし、セフレとかもいたんじゃね?ってくらいだったのに」

「……せ、ふれ……」

「そうそう。アイツ、顔だけはいいからねー。で、絶妙〜に優しい感じ出すじゃん?だから騙されるのよ、女子達が」

嵐は悪びれた様子もなく、ポケットから取り出したミントを一粒口に放り込んだ。

「だからさぁ、那色が女をスマホの待ち受けにしてるのとか、マジで衝撃だったわけ」

「……さっきから言ってるその待ち受けって、何ですか」

「うん、見たんだよね。那色のスマホ。おねーさん、那色とカフェとか行かなかった?なんかオシャレなアフタヌーンティーとか」

「!」

——あの時の…!

羅華の中で、不意に写真を撮られた記憶がはっきりと蘇る。

「だからさ、“誰?”って聞いたら、ノーコメント。彼女かって聞いたらムスッとしたまんま何も言わねーの。で、俺は察したね。あーこりゃガチ恋だなって」

羅華の胸の奥に、静かに、けれど確実に何かが落ちてくる。

——ほんとに、待ち受けに、私を……?

「那色のくせに純情ぶっちゃってさ。彼女でもないのに写真待ち受けとか引くじゃん?なのにそれを隠そうとすらしねーの。結局最後まで誰かも教えてくれねえし」

嵐は肩をすくめて笑う。

「でもまあ、本人が何も言ってないのに俺が言うのも野暮だったか。やべー、勝手に言っちゃったわ。ま、聞かなかったことにして?」

「……い、今更むりですよ…!」

「えー。でも、まあいっか。親友の恋のキューピットってのも悪くねーし」

嵐はそう言い、ふざけたように頷いた。



< 113 / 320 >

この作品をシェア

pagetop