蜜味センチメンタル
そう言って悪戯っぽく笑う那色に、羅華は少し困ったような笑みを返す。
——私もとうとう、大和さんを困らせる“クソガキ“になっちゃったかな…
「それより羅華さん、本当に寒くないですか?」
「?うん、さっきも聞かれたけど本当に大丈夫だよ」
「もう、そこは嘘でも“寒い“って言ってくれないと」
「どうして?」
羅華が問い返すと、那色は自分のマフラーをふわりと外す。そして何のためらいもなく、羅華の首に巻いた。
「こうやって羅華さんを口説く口実が、なくなっちゃうじゃないですか」
「!」
マフラーから香る微かな那色の香水の香りに、また胸が波打つ。
「僕が温めておきました。…って、さすがにちょっとキモいですかね?すみません」
那色は揶揄うように笑ったけれど、それどころじゃなかった。
こんなの、あたたかいを通り越して、むしろ暑い。
「羅華さん、手はどうですか?」
そう言って差し出される那色の手。今度こそ、羅華はその意味がわかった。
「…ちょっと、冷えちゃったかな…」
羅華の返事に、那色はゆるりと目を細めた。
「それって、手を繋いで欲しいってこと?」
「…やっぱり言うんじゃなかった」
「ごめん、嘘。手、繋がせてください」
冗談めかして言いながらも、自然に手を繋いできた。
柔らかい手のひらが、羅華の指先を包み込む。そこから、静かにぬくもりが伝わってくる。
「あったか……」