蜜味センチメンタル
微かに揺れる声と、瞳。そこにいつもの軽薄さはなく、ただ静かな熱が込められていた。
それを目の当たりにして、高まっていく鼓動と胸の奥の熱は、もうどうしようもないほどだった。
ずっと、信じることが怖かった。
期待して、裏切られて、傷つくのが嫌だった。
でも——想いを伝えてくれる那色の言葉は、あまりにも真っ直ぐだった。
何度も目を逸らそうとしたしてきた。でもそのたびに追いかけて手を引いて、今は、こんなにもまっすぐに気持ちを差し出してくれている。
心の奥に張りつめていた何かが、音を立ててほどけていくのを感じた。
こんなにも大事に想ってもらえてるなんて思わなくて。けれどそれが、怖いほどに嬉しくて。
胸がいっぱいになって、言葉が掠れてしまった。
「……うん。私でよければ」
ようやく絞り出すように言えたその一言に、那色の顔がふわりと綻ぶ。純粋で、あたたかな笑顔だった。
イルミネーションの光が、繋がれた手の上にやわらかく降り注ぐ。
その温度が、たしかに“恋人”としての始まりを教えてくれた。