蜜味センチメンタル
・*†*・゚゚
暗くなった病院の待合室には、受付の光だけが淡く差し込んでいた。
椅子に座り、羅華が病室から出てくるのをただじっと待つ間、那色はずっと落ち着かなかった。
あれから、何分経っただろう。
時計の針が進むたび、不安がじわりと喉元まで這い上がってくる。
何もできない時間ほど、苦しいものはない。
ようやく廊下の奥から姿を見せた羅華は、やや疲れた様子だった。
けれど、顔を見た瞬間、那色はそっと立ち上がった。
「お疲れさま。お母さん大丈夫でした?」
「うん……しばらく入院と検査は必要みたいだけど…ひとまずは、落ち着いたよ」
微笑みながらそう言った羅華だったが、その声にはどこか張りつめた緊張が残っていた。
「とりあえず、今日中に入院の手続きしなきゃいけなくて……準備もあるから、私一回実家に戻るね。荷物を用意して、それからまた病院に戻ってくると思う」
「そっか……」
「だから那色くん。今日はもう、帰ってくれて大丈夫だよ。こんなところまで一緒に来てくれて、本当にありがとう」
言葉はやさしかった。けれど、“ここで区切りたい”という線引きのようなものが感じられて、那色の胸に小さな痛みが走る。
「付き添わせてもらえないんですか?」
「……大丈夫。ほんとに、ありがとう。でも…今は色んなこと、ひとりで整理したくて」
「……そうですか…」
暗くなった病院の待合室には、受付の光だけが淡く差し込んでいた。
椅子に座り、羅華が病室から出てくるのをただじっと待つ間、那色はずっと落ち着かなかった。
あれから、何分経っただろう。
時計の針が進むたび、不安がじわりと喉元まで這い上がってくる。
何もできない時間ほど、苦しいものはない。
ようやく廊下の奥から姿を見せた羅華は、やや疲れた様子だった。
けれど、顔を見た瞬間、那色はそっと立ち上がった。
「お疲れさま。お母さん大丈夫でした?」
「うん……しばらく入院と検査は必要みたいだけど…ひとまずは、落ち着いたよ」
微笑みながらそう言った羅華だったが、その声にはどこか張りつめた緊張が残っていた。
「とりあえず、今日中に入院の手続きしなきゃいけなくて……準備もあるから、私一回実家に戻るね。荷物を用意して、それからまた病院に戻ってくると思う」
「そっか……」
「だから那色くん。今日はもう、帰ってくれて大丈夫だよ。こんなところまで一緒に来てくれて、本当にありがとう」
言葉はやさしかった。けれど、“ここで区切りたい”という線引きのようなものが感じられて、那色の胸に小さな痛みが走る。
「付き添わせてもらえないんですか?」
「……大丈夫。ほんとに、ありがとう。でも…今は色んなこと、ひとりで整理したくて」
「……そうですか…」