蜜味センチメンタル
「だからびっくりはしたけど……きみがどんな私でも受け入れてくれるって言ってくれたのと同じように……私だって、どんなきみだって、好きって気持ちは変わらないよ」
那色の目が揺れた。あたたかいものが、そこに浮かんでいた。
「……羅華さん」
「うん」
「ありがとう。……本当に、ありがとう」
那色がゆっくりと羅華を抱きしめた。強くも弱くもないその腕の温度が、まるで雪解けのように心を溶かしていく。
「……話して良かった。……好きになったのが、あなたで良かった…」
「……うん、私もだよ」
カップのなかで揺れていたコーヒーが、静かにその動きを止めていた。
時間が、少しだけやさしく立ち止まったように感じた。
——またひとつ、彼に近づけた気がする……
この人のことを、もっと知っていきたい。
誰より複雑で、誰よりまっすぐな彼のことをもっとちゃんと受け止めたい。
羅華はそっと那色の背に手をまわし、抱き返した。あたたかい、たしかな輪郭。