蜜味センチメンタル

「それと……先ほど海外の来賓が到着に遅れそうだと連絡が入ったので、メインテーブルの配置が変わるかもしれません」

「把握しています。こちらでも想定して席を再調整してます。最悪、座席ではなく立食に変えられるよう進行表も2パターン作ってあります」

「了解です。では更新版の資料は代表の方にお渡ししておきますね」

「お願いします。あ、もう一点だけ」

蓮水が資料を確認しながら、ひと足だけ距離を詰める。

「ステージ裏の音響ライン、午後に干渉が起きたと聞いたのですが、現在は問題ありませんか?」

「はい、現場で確認済みです。外部マイクとの干渉が原因でしたが、今は調整済みです」

「了解しました。ありがとうございます」

 
必要な確認を終えたあと、ほんの短い間だけ視線を交わした。周囲の喧騒から少し外れた空間で、会話の余韻で頷きあう。

「それでは、この後もよろしくお願いします」

「はい。それでは失礼します」

軽く会釈を交わし、蓮水は足早に離れていった。

羅華も手にした資料を持ち直し、再び歩き出す。


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