蜜味センチメンタル

「うん……うん、ありがとう。なしきくん……こんなに、大切思ってくれて……」

「こちらこそ。……って、泣かせるために作ったわけじゃないんですけどね」

照れ隠しのように言うと、羅華が小さく、喉の奥で笑った。

「……いいの。これはうれしくて……あったかくて、出ちゃった涙だから」

「……そっか」

羅華の笑顔に、那色は胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。

泣かせたはずなのに、なぜか、自分のほうが救われている気がした。

「もうひとくち、食べます?」

那色が優しく問いかけると、羅華は少しだけ視線を持ち上げた。

「……食べさせてくれるの?」

「自分でやりたいですか?」

「……ううん。那色くんがやって」

少し茶目っ気のある声色に、羅華は小さく首を横に振る。

「しかたないなあ」

那色はわざと軽くため息をついて見せたが、声にはどこかうれしさが滲んでいた。そしてまた、おかゆをすくっては、ふうっと冷ます。

羅華はまぶたを半分閉じながら、それを受け取り、ゆっくりと咀嚼していた。

ほんのわずかに緩んだ口元が、次第に笑みに変わっていくのが分かる。

ふいに目が合うたびに、照れくさそうに浮かぶその笑顔。それを見ているだけで、那色の胸の奥がじん、とやさしく熱くなった。

ただ、ベッドの上で、食事をひと口ずつ運んでいるだけなのに。

< 300 / 320 >

この作品をシェア

pagetop