蜜味センチメンタル
「うん……うん、ありがとう。なしきくん……こんなに、大切思ってくれて……」
「こちらこそ。……って、泣かせるために作ったわけじゃないんですけどね」
照れ隠しのように言うと、羅華が小さく、喉の奥で笑った。
「……いいの。これはうれしくて……あったかくて、出ちゃった涙だから」
「……そっか」
羅華の笑顔に、那色は胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。
泣かせたはずなのに、なぜか、自分のほうが救われている気がした。
「もうひとくち、食べます?」
那色が優しく問いかけると、羅華は少しだけ視線を持ち上げた。
「……食べさせてくれるの?」
「自分でやりたいですか?」
「……ううん。那色くんがやって」
少し茶目っ気のある声色に、羅華は小さく首を横に振る。
「しかたないなあ」
那色はわざと軽くため息をついて見せたが、声にはどこかうれしさが滲んでいた。そしてまた、おかゆをすくっては、ふうっと冷ます。
羅華はまぶたを半分閉じながら、それを受け取り、ゆっくりと咀嚼していた。
ほんのわずかに緩んだ口元が、次第に笑みに変わっていくのが分かる。
ふいに目が合うたびに、照れくさそうに浮かぶその笑顔。それを見ているだけで、那色の胸の奥がじん、とやさしく熱くなった。
ただ、ベッドの上で、食事をひと口ずつ運んでいるだけなのに。